記者の心をつかむ!広報担当者のためプレスリリースの発信時期戦略

プレスリリースの効果的な発信時期がわからない
今回は、このような悩みを解決する効果的なプレスリリースの発信時期について説明します。
これまでに経験がなく広報PR担当者になった場合に、「とりあえず」プレスリリースを作って、配信してみても中々効果が上がりません。
記者を惹きつけるためには、記者の1日のスケジュールや効果的なプレスリリースの発信時期を戦略的に計画することが重要です。
そのため、本記事では記者が記事として取り上げやすいプレスリリースの発信時期についてご紹介します。
プレスリリースの発信時期を効果的にする理由

すべてのプレスリリースが記事にならないの?
「プレスリリース」から主要新聞社が記事にするのはわずかです。
記者やディレクター職は複数の企業の担当をもっており、1日に500件のリリースが届くとも言われています。
また、日々の取材や記者発表などを掛け持ちしており多忙を極めています。記者の数も減っている中で、限られた時間で大量のプレスリリースの中から記事や取材に繋げるかどうかの優先順位をしています。
その優先順位を決めるうえで、社外広報PR担当者は他社のプレスリリースと比較してニュースバリューを少しでも向上させるために、最適なタイミングでのプレスリリース発信などの工夫が重要です。

その工夫のためには、時流・世相・季節性、発信内容などに合わせることや記者の特性に合わせることなどで配信を検討することも肝要です。
記者については、Webメディアでは比較的短い期間で記事を作成できますが、雑誌の場合は数か月前から企画が進行しています。
そのため、ターゲットとする報道機関の特性やスケジュールを把握し、それに合わせて適切な時期に配信しましょう。
今日は何の日?を意識した時相に合わせたプレスリリースの発信
広報が内容に応じて新商品の発売やサービス展開、イベント開催などの時期を判断できるようであれば、効果的な発信日にすることが大切です。
記者が「ニュース」の導入文章を書くうえで、歴史的な日程や「●の日」などがあると記事が通りやすくなります。つまり、時流や世相、季節性に合わせた発信時期の設定です。
例えば、「防災の日」です。
避難訓練を「防災の日」に設定することで、報道につながりやすくなります。
当日のようすを取材対応できるようであれば、2~3週間前に避難訓練がある旨のプレスリリースを出すことで記者からの取材につながりやすくなります。
当日の取材対応ができないようであれば、同日のようすをプレスリリースで発信することで報道につながりやすくなります。
その状況に応じた発信方法を考えるとよいでしょう。

内容を重視したプレスリリースの発信時期
新商品や新サービス
新商品や新サービスでは、開始日の「一週間前から前日」までにリリースの発信をすることが適切な目安となります。ニュース性が高いプレスリリースであれば問題ないですが、早すぎる配信は記者に忘れられる可能性があるため注意が必要です。
話題性を考慮し、新商品や新サービスの発売直前に配信することがポイントです。

記者発表やレクチャー、イベントなどの紹介
記者を集めるような記者発表やイベントなどを紹介するためには、「2週間前以上」に配信することが重要です。可能であれば、3週間前を目途にするとよいでしょう。
前述したとおり、記者は複数の企業に対する取材や記者発表の対応をする必要があるため、先々の予定まで埋まっています。
そのため、できるだけ早めにプレスリリースを発信することで、認知をしてもらうようにしましょう。

ファイリング事項や業績
ファイリング事項や業績報告に関するプレスリリースは、「即日公開」が一般的です。
上場企業であれば、「適時開示事項」となるため、即日公開となっています。
スピーディーな配信が求められるため、報告に必要な情報がまとまり次第迅速に発信することが重要です。
適時開示とは?
公正な株価等の形成および投資者保護を目的とする、証券取引所に上場した会社(上場会社)に義務付けられている「重要な会社情報の開示」のことをいう。
会社が適時開示に係る規定に違反した場合又は企業行動規範の「遵守すべき事項」に違反した場合において、改善の必要性が高いと認められるときには、上場会社にその経過及び改善措置を記載した改善報告書の提出を求めることとしています。
季節や時期を考慮しなくてもよい場合
特に季節や時期を気にせずにプレスリリースを行うことができる場合には、報道機関の閑散期である2月や8月などに発信することが重要です。
決算発表なども少ないため、企業活動が停滞しがちな時期になり、プレスリリースの本数も少ないといわれています。
少ないライバルのなかで、プレスリリースを発信することができれば、記者からの注目を集めやすくすることができます。

メディアごとに情報発信時期の最適化
新聞やWEB媒体などのメディアに応じて、プレスリリースの最適なタイミングが異なるため、報道想定先を明確にした広報PRが重要です。
新聞社向けのプレスリリース
新聞では、日刊紙や週刊紙、月刊紙で異なります。
日刊紙は毎日発行されており、速報が重視されるため、事業開始の1週間前から前日までの配信が前提条件になります。
週刊誌では企画時期に合わせて2週間前までに配信を調整。月刊誌は約2カ月前が適しています。
ただ、日刊紙が取り扱った内容を週刊紙や月刊紙を取り扱うことも良くあるため、日刊紙向けに重要度が高い情報を発信することを優先事項にするとよいでしょう

雑誌社向けのプレスリリース
雑誌も新聞と同じで、週刊誌や月刊誌、専門誌などによって適切なタイミングが異なります。
週刊誌や月刊誌は工程に時間がかかるため、約2カ月以上前の配信が望ましいです。
専門誌は取材先を数か月前から決定することがあるため、2カ月から半年前にプレスリリースを配信しておく必要があります。
日刊紙の記事をベースに週刊誌や月刊誌なども企画を検討することもあるため、日刊紙を優先してもよいと思います

テレビ局向けのプレスリリース
テレビでは、報道番組や情報番組などの種類によって適したタイミングが異なります。
強い話題性があるようであれば、報道番組に1週間前などに提供することで報道されることとなります。
Webメディア向けのプレスリリース
Webメディアへの掲載を希望する場合、企画から掲載までのタイムラグが短く、数日前から当日中の記事化が可能です。
特に自社の業種に合ったWebメディアがあれば、個別に連絡を取り、タイミングを調整することが有効です。
また、プレスリリース配信サービスを利用することで、同時に複数メディアへの配信が可能です。
報道の中でも最も時間帯や時期に制約がなく、リアルタイムな掲載が期待できます。

火曜日~木曜日が無難!
プレスリリースの無難な配信日は1週間のうちで、火曜日と水曜日、木曜日と言われています。
企業の取材をする経済部の記者は、企業の営業日である月曜日~金曜日に業務をすることが多いです。
(社会部はあまり休みという概念は薄いです)
そのため、「月曜日」は土日に情報収集した内容から取材や記事に繋げることが多いため多忙となることが多くあります。
「金曜日」は、土日の記事を提出するために業務に集中しやすくなります。
そのため、月曜日・金曜日はプレスリリースが埋もれてしまい見過ごされる可能性があります。
当然、土曜日と日曜日は記者が普段休日になるため、プレスリリースや記者発表の開催は避けることが望ましいです。
記者のスケジュールから火曜日から木曜日が望ましいということを伝えましたが、私の経験上では月曜日・金曜日でも大きな差は生まれないことも事実です。(発信する時期よりも内容のほうが重視されるということです)

10時~14時の間での発信が望ましい
新聞社での紙面締め切りは、働き方改革とともに早まる傾向にあります。
また、通信社などでも株式市場が開いている時間帯までに記事を配信することを望んでいます。
そのため、午前中にプレスリリースを配信することで、記事になりそうな情報であれば午後に取材につながるため早めの行動が望まれます。
まとめ
本記事では、効果的なプレスリリースの発信時期について説明してきました。
報道に繋げるために最も大切なことは、ニュースバリューをあげることです。そのため、時流や報道機関の特色に合わせてプレスリリースを配信することを重要視してください。
是非、これらのポイントを参考にして、効果的なプレスリリースの発信をしてください。
プレスリリースの基本は以下を参考ください!
プレスリリース作成歴10年以上の担当者が教える!効果的な「プレスリリース」を作る際の注意点 | 広報PR研究所 (kansaikouhou.online)
筆者プロフィール
10年以上の間、記者発表や取材対応、リリース作成などの社外広報を担当。これまでに100回以上の記者発表や1,000本以上のリリースを作成。自社だけでなく、グループ会社の広報業務も手掛けているため、大手企業から中小企業の情報発信を経験している。専門媒体や地方媒体から全国のニュースまで多方面での広報の企画立案と実施を行っている。
広報の基本ガイド
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