広報の成功への道: 基本ガイドと重要なポイント

広報担当になったが、広報とは何かもわからない・・・
今回は、このような悩みを解決する広報の初歩を説明します。
企業広報はビジネスの成長において極めて重要な役割を果しています。
この記事の「企業広報の基本的なガイドと重要なポイント」に焦点を当て、広報とは何か、社外広報の実践的な対応方法を知ることができ、広報の戦略を構築する手助けとなります。
広報とは?
広報は、英語で”Public Relations”で「Public:公(ステークホルダー)との」と「Relations=関係性」をつくるという意味です。

企業は、お客様や取引先、従業員など様々なステークホルダーと関係して、経済活動をしています。その中で、広報は企業が円滑な活動を進めるため、自社の活動内容を適正に社会に浸透させることで、信頼関係を構築することが役割となります。
「広報」と「宣伝」の違い

「宣伝」との違いはなんだろう・・・
「広報」と意味を混乱させやすいのが「宣伝」です。
「広報」は、「官公庁、企業などが、業務、活動などについて、広く大衆に知らせること」という意味になります。誤解を恐れずに言うと、広告料を払うことなく情報を発信することを言います。
一方で、「宣伝」は、「ある物の存在や効能、または主義主張などを人々に説明し、理解を求めて広めていくこと」という意味となり、費用をかけてでも情報発信することを言います。
●「広報」と「宣伝」の違い
広報 | 宣伝(広告) | |
発信者の特性 | 客観的 | 主観的 |
信用度 | 報道機関を通じているため高い | 広報と比較して低い |
費用 | 大きな費用はかからない | 広告費で多額の費用がかかる |
記事のコントロール | できない | できる |
「広報」と「IR」

「広報」と「IR」との違いはあるの?
幅広いステークホルダーとの関係構築を目的とした「広報」では、情報発信力のあるメディアなどが主軸になります。その一方で、関係構築相手が株主や投資家を主軸にするのが、「IR(Investor Relations)」となります。

「IR」では、企業の財務状況や経営戦略などの投資判断基準となる情報を、株主や投資家に情報発信することで、適正な株価にすることを目的にしています。
投資家から安心して投資できる企業として評価されることで株価も安定・向上し、企業価値が上昇します。
情報発信先が異なるものの、発信する情報に大きな違いはないため、社員数次第で「広報」と「IR」を同じ部署にしている企業も多くあります。
「社外広報」と「社内広報」

広報の業務領域は多岐にわたり、重要性も年々増していますが、主には「社外広報」と「社内広報」に分けられます。
社外広報
社外広報は主に製品やサービスの認知度向上、ブランドイメージの向上に焦点を当てます。キーワードや業界トレンドを意識したコンテンツを作成することで、外部への露出を最大化します。
「広報」と聞いて、多くの方がイメージするのが「社外広報」です。私はこの社外広報歴が10年以上になります。
社内広報
社内広報は組織のビジョンやミッション、重要な出来事などを通じて内部コミュニケーションを促進します。共感を呼ぶエンゲージメントや社員の成功事例を共有することで、従業員のモチベーション向上や愛社精神を醸成します。
「攻め」と「守り」の社外広報

社外広報は何をするの?
企業の花形と言われるのが「社外広報」です。
ここでは、「社外広報」の業務内容を紹介します。
「社外広報」は、「攻め」と「守り」の仕事に分けられます。
攻めの広報 | 守りの広報 |
会社が周知したい情報を発信することです。魅力的なコンテンツや独自のキャンペーンを通じて、新たな視点で企業をアピールします。具体的には、プレスリリース発信や記者発表、取材対応などをすることで、報道につなげます。 | 企業の危機管理をすることです。事前にリスクを予測し、的確に対応することで、企業価値の棄損を抑制します。不祥事が発生した時には、速やかに適正な情報発信をすることで報道対応をします。 |

「記者発表」

「攻め」の広報は報道対応って具体的に何をするの?
「攻め」の広報における、報道対応は主に3種類あります。それが、「記者発表」と「プレスリリース」、「取材対応」になります。
その中でも「記者発表」は、企業や組織が新しい製品、サービス、重要なイベントなどに関する情報を広く一斉に伝える手法です。
複数の報道機関を集めて情報を発信することになり、重要性の高い情報や大勢のメディアが報道することが予想される場合に採用されます。

「プレスリリース」
「プレスリリース」とは、「報道発表資料」を意味します。
企業が、自社の取り組みを報道してもらうことを目的にまとめた公式文書のことを指します。
(そのため、記者発表で渡す資料もプレスリリースと呼ばれます。)
一般には、複数のメディアに同時に情報発信する方法になりますが、記者発表ほど重要度の高くないものを発信したいときに用いられる資料になります。
プレスリリースの中にも重要度に応じた種類があります。それが、「ニュースリリース」や「ニュースレター」です。
ニュースリリース
企業や団体が主にメディアや報道機関に対して、重要な情報や出来事を伝えるための文書です。新製品の発売や重要なイベントの開催など重要度が高い内容になります。ニュースリリースは客観的で事実を伝えることが求められ、報道機関がそのまま記事として利用できる文章が求められます。発表方法としても、HTML形式やテキスト形式で電子メールとして発信するうえ、所属する記者クラブに投函されることが多いです。
ニュースレター
企業や組織が自身の顧客や購読者に対して直接、定期的に情報やニュースを提供するための手段です。製品情報や受賞関連、業界動向、会社のニュースなどを伝える目的があります。
記者クラブへの投函はされないものの、HTML形式やテキスト形式で電子メールとして送信されます。

「取材対応」
報道対応で一番数が多いのが「取材対応」になります。
「取材対応」には、報道機関からの取材依頼に個別に対応することや、企業から報道機関1社に取材をお願いする「リーク」があります。
「リーク」では、記者発表やプレスリリースなど大勢の報道相手に一斉に情報発信しても記事になりにくい情報を、1社だけに情報提供することで取り上げていただきやすくする方法になります。

まとめ
本記事では、新たに広報担当に任命されたけれど、広報って何だろう?と戸惑っている方へ向けて、広報の初歩を解説しました。企業広報はビジネスの成長において極めて重要な役割を果たします。本記事を通じて、企業広報の理解を深め、成功への第一歩を踏み出してください。
筆者プロフィール
10年以上の間、記者発表や取材対応、リリース作成などの社外広報を担当。これまでに100回以上の記者発表や1,000本以上のリリースを作成。自社だけでなく、グループ会社の広報業務も手掛けているため、大手企業から中小企業の情報発信を経験している。専門媒体や地方媒体から全国のニュースまで多方面での広報の企画立案と実施を行っている。